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薬による排便コントロールについて

便秘を解消するためにはまず食事と日常生活習慣の改善が基本です.
食事や日常生活習慣に気をつけても便秘が治らない場合に初めて下剤の助けを借りて排便調節をするのがセオリーです.

しかし実際には,生活習慣に気をつけても便通が改善しない方が多いのも事実.

そんな方からよくいただく質問が『下剤ならどれを飲んでもいいですか?』というものです.

そこで今日は下剤の種類についてご説明します.

下剤の種類

下剤には大きくわけて以下のものがあります.

1.機械的下剤(非刺激性下剤)

腸自体に作用するのではなく,便の形や大きさを変化させることにより腸の動きを促進することで排便を促す薬です.

刺激性下剤ほど効果は強くなく,また即効性もありませんが,お腹が痛くなることもほとんどなく,自然な排便が期待できる薬です.

長期間服用しても『慣れ』が起きにくいため,長く安全に服用できるのが特徴です.


a) 塩類下剤(酸化マグネシウムなど)
浸透圧の原理(ナメクジに塩をかけると・・というアレです)で体内の水分を腸内に引き寄せることにより,便の水分含有量を増やして便を軟らかくし,排便を促します.
内服する量が多すぎると下痢になるため,分量の加減が重要になります.

b) 膨張性下剤(ポリカルボフィルカルシウム)
高分子重合体(紙オムツの中に入っているのと同じような成分.水分を吸収してゲル状になります)を粉末にしたもの.寒天のように水分を吸収・保持するため,下痢の場合でも便秘の場合でも便の水分量を適正に保ってくれるという魔法のような薬です.飲み始めの1-2週間はお腹が張るため,少量から服用開始します.

2.刺激性下剤

センナ,ダイオウ,センノシドなど,大腸粘膜を刺激して腸の蠕動(ぜんどう)運動を促すことで便を出す薬で,市販の下剤のほとんどがこのタイプです.

非常によく効くのが特徴ですが,硬便だろうと軟便だろうととにかく腸を動かして便を押し出してしまうため,出始めが硬く後半は下痢便になることがほとんどです.

排便後のスッキリ感がないこと,長期間連用すると腸が麻痺してきてだんだん薬が効かなくなるため服用量がどんどん増えていくという問題があるため,常用はお勧めしていません.

比較的安全と思われがちな漢方薬ですが,漢方便秘薬には『ダイオウ』が含まれていますので要注意です.

3.消化管運動機能亢進剤

内臓に分布している自律神経に作用して腸の蠕動運動を亢進します.主に高齢者の弛緩性便秘に使われます.

おすすめの下剤の使い方

刺激性下剤は薬局などで容易に手に入るため,これらの薬を安易に服用する方を多くみかけますが,これは習慣性という点からお勧めできません.

内服薬による排便調節の基本は,

1.機械的下剤(非刺激性下剤)を中心に服用し,

2.さらに症状などから必要に応じて消化管運動亢進剤を追加し,

3.それでも効果が弱いときに補助的に刺激性下剤の助けを借りる,というのが理想です.

たかが便秘,されど便秘.
便秘を長期間放置すると腸内の細菌が正常な働きをしなくなり,大腸憩室症や大腸がんなどの原因になるばかりでなく,肌荒れやアトピーなどの皮膚疾患が悪化することもあります.

便秘でお悩みの方は恥ずかしがらずに専門の医療機関を受診し,自分がどのようなタイプの便秘なのかチェックしてもらい,自分に合った治療薬を選んでもらうとよいでしょう.

静岡県西部地域で便秘にお悩み方は,当院にご相談ください.

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