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痛風,高尿酸血症の食事療法

血液中の尿酸値が高い状態を『高尿酸血症』といいます.尿酸が増えすぎると身体のあちこちに尿酸の結晶(尿酸塩)がたまり,激しい痛みを引き起こします.これが『痛風』です.現在の日本では40歳以上の男性の10人に1人は高尿酸血症だと言われています.
高尿酸血症は高血圧や動脈硬化をはじめ,さまざまな生活習慣病の誘因となるため,早期発見早期治療が重要です.

●尿酸値に注意
尿酸の正常値は6.0mg/dL.男女とも尿酸値が7.0mg/dLを超えると『高尿酸血症』と診断されます.最近になって尿酸値の上昇は心血管疾患(高血圧,狭心症,心筋梗塞,脳梗塞など)を誘発することも分かってきましたので,尿酸値が8.0mg/dLを超えるようなら症状がなくても薬物療法を開始した方がよいでしょう
●治療の基本は薬物療法
以前は尿酸の素となるプリン体を多く含む食品を過度に制限する食事療法が治療の中心でした.しかし尿酸は全体の6/7が体内で合成され,残りの1/7が食事に依存するにすぎません.そこで最近では薬物療法を基本にして,食事療法や運動療法を追加する形で治療が行われています.仮に痛風発作(痛み)が治まっても自己判断で薬を中断するのは禁物.内服を中止すると尿酸値はすぐに元の高い値に戻ってしまいますので,再発を予防するためにも治療は生涯続ける必要があります
●高尿酸血症の食事療法
薬物療法(薬の種類や投与方法)は医師にまかせるとして,ここでは食事療法についてご説明します.
1)プリン体は摂り過ぎない
食事で摂る尿酸(プリン体)の全体に占める割合が少ないとはいえ,やはりプリン体の制限は有効です.プリン体の摂り過ぎには十分注意しましょう.
【高プリン体食品】
煮干し,かつおぶし,鶏レバー,豚牛レバー,エビ,あじの干物,肉スープ
【中等度プリン体食品】
大豆,牛豚の心臓や腎臓,かつお,たら,にじます,いわし,するめいか,など
【プリン体の少ない食品】
うなぎ,豚牛ロース,牛タン,ベーコン,ほうれん草,かまぼこ,豆腐,牛乳,チーズ,鶏卵,とうもろこし,ジャガイモ,サツマイモ,米飯,パン,うどん,そば,くだもの,キャベツ,トマト,にんじん,大根,白菜,わかめ,こんぶ,ひじき,など
2)アルコールの摂り過ぎに注意
アルコールを摂りすぎると以下のような理由で尿酸値が上がります.必ずしも禁酒する必要はありませんが,連日の飲酒は避けて週に1-2日は休肝日をつくりましょう
①アルコール自体にプリン体が含まれている
②アルコールは肝臓で尿酸が作られるのを促進する
③アルコールが分解されるときに尿酸の排泄を妨げる
④アルコールの利尿作用で脱水になりやすく,尿酸値があがる
⑤アルコールは食欲を増進し,暴飲暴食のもととなり肥満につながる
3)バランスのいい食事を
他の疾患の食事療法の項でも述べましたが,やはりバランスのよい食事が一番です.
とくに副食はビタミン,ミネラル源となる野菜や芋類,海藻を中心に摂りましょう.野菜は1日350g摂るのが理想ですので,毎食100g以上を目標にしましょう.
4)水分
水分(水やお茶)を十分に摂り,尿を出すことで尿酸を体外に排出します.ただし尿が酸性に傾いている人は尿に尿酸が溶けないので要注意.病院で自分の尿が酸性か中性かを調べてもらいましょう.アルカリ性の食品(海藻類,牛乳,野菜類)を摂るのも効果的です.
5)減量と運動
減量するとほとんどの人で尿酸値は下がります.ただし急激な減量は逆効果.減量はゆっくりと行いましょう.急激な運動をすると脱水になり尿酸値が上がって痛風発作が誘発されることがあるので要注意です.運動はなるべく激しい運動(短距離走,重量挙げ,過度の筋力トレーニングなどの無酸素運動)を避け,水泳・ウォーキング・サイクリング・ジョギング・軽いエアロビクスなどのゆるやかな運動を行うようにしましょう.

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